境界から見る景色

はじめましての気持ち

メル友だった、凸凹君親子の話❸




K君は不登校になってから、


学校からのサポートが増え、


クラス替えがあっても

幼稚園の頃からの付き合いがある子と

同じクラスにしてもらえたり


孤独過ぎる状況は回避されていたらしいです。


時間が経つと


メル友ママは

喉元過ぎれば熱さ忘れる、感じで


元のメル友ママの空気に

徐々に戻っていきました。


((謙虚さは消えたけど(笑)それぐらいK君が安定してるって事なのかな。まぁ、それならいいか。))


そう思って、連絡がきても、

いつものようにマウント取りが始まっても


これはK君が元気な証、と、適当に流していました。


K君が6年生になっていた 秋


『相談に乗ってくれる???』と。


こういう話し方の時は相談ではなく、

自慢したい時なので


面倒だなと思いつつ「なぁに?」と聞きかえしました。


メル友ママ 


『 Kが私立中を受けさせて欲しいって言ってきて、受験する事になったのね。』


と。


私は、以前から

K君は私学向きな子だと思っていたので、


「お!良かったね。K君は向いてると思うよ」


と、返しました。


ただ、以前、中途半端な私学に、お金を払って行かせるぐらいなら公立に行かせる。と、公言していたので


この人がよく考えを変える事ができたな〜と


不思議に思いました。


私『 K君が自分から頼んだの?凄いね。』


と振ってみました。


メル友ママ『 うん。公立中には行きたくない。私立に行かせてくれって。』


私「・・え💧何かあったの?理由は?」


メル友ママ『なんか・・自分でもよくわからないらしいんだよね。言えないらしい。』




この「理由は言えない、言わない」は


不登校になるタイプの子には、よくありがちな事です。


話せない理由は、それぞれだけど



国語能力が特別秀でていて、

表現力に問題があるわけでもない

K君が話せない理由・・・


そこに問いを持って向き合えない

メル友ママは、


本当は、聴く準備がないのです。


K君の心を聴いても困るから。無意識に避ける。



ママさんを10年以上感じてきた私には


K君が話せない理由は、

痛いほど、わかる気がしました。


勿論、話さない子達の、


話せない理由は


絶対これ、という

唯一のものはないです。


100人いたら100通り理由があるのかも。


例えばうちの凸凹息子の場合、

幼児期、幼稚園であった嫌な出来事を

聞いてもうまく話せませんでした。


中期、短期の記憶の引き出しに

つまずきがあったからでしたが、


私はそれに気づかず、


私の中の何かが、子にそうさせているんだと

自分を責めて向き合ってきました


的外れだったけど

子に向き合う姿勢を作るチャンスを得て

無駄ではなかったかも、と今は思います


色んな言えない理由もあるはずです。


K君の場合は


『自分のこの想いは、


★この親には理解されないだろう、

★この親には受け止めきれないだろう、


★受け止めきれなくて、切り捨てるか

★受け止めきれなくて無視するだろう

★受け止めきれなくて、そらすだろう。


★本当は、困らせたい訳じゃない(愛だね)


★でも、向き合う用意がなくて、自分を無視する選択をギリギリの場所で突きつけられたら、・・・僕も耐えられないかも。怖い。傷つきたくない。


★だから今は言えないんだ。言いたくない。』



こんな感じじゃないかな。一つの推測ですが。



感受性の豊かなK君は


親の日々の【存在の仕方、全て】から


悟って判断しているはず。




私も、


当時のメル友ママと話す時は

想いの100分の1も話していません


受け止められている感覚はゼロでした。


彼女と話していると、いつも

未消化な「もやもや」が残りました。


支配されているK君なら、


尚更だろうな。


表現できない事で心が混沌として・・・

苦しいだろうな。


親のルールとジャッジを優先するように

インプットさせられた子どもは


それが自分の想いと

相反していると察知したら


自分を否定して黙ります。


混沌を抱えて

動けなくなるだろうな。



このK君の「私学に行かせて!」という願いは


とっても優しい選択でした。


メル友ママさんの、


どうしようもなさも、駄目さも、

責めず、突きつけず


自分で背負ってゆこうとした選択でした。


全部まるっと包み込んで、

かつ、自分の生き残りの術を


見つけたよ!と

言っているような


そんな選択だったはず。




でも、取り敢えず、

受験を許したのなら


それぞれが少しずつ頑張ったのかも。


なら、一歩前進かな?



【私】「で、どこ受験するの?」と聞いてみました


それは県下1、2を争う私立中で


少し、驚きました。


驚いた理由は、


K君が思いの外、優秀だった事ではなく(高IQは想定内)


さすがに能力があっても、6年生の夏前かからの準備では、かなり厳しいはず、と予想できたから。


凸凹息子の友達で、ガチの受験戦争をやり抜いた子を身近で見ていたので、


勘も働き


何か訝しい気持ちが湧きました。


探ってゆくと


メル友ママが

躁状態でハイテンションな理由は


進学塾の塾長が、K君に可能性があると認めたから、だったようです。


『鳶が鷹を産んだかも〜💕』と。有頂天になっていました。


K君が生きやすい居場所に繋がるなら何でも

良いのです


でも、なんか変で・・・


その時点で10月だったので、


模試の判定はいくつか出ているはずなので

判定結果は?と聞いてみたけど


はぐらかし、絶対に言いません。


訝しさは、どんどん増して


私『滑り止めはどこにするの?』と訊ねてみて


やっと、その違和感の理由がわかりました。


メル友ママ


『受けさせないわ。そこが落ちたら公立に行けばいいの。』


と。


これって・・・


自尊心を塾長にくすぐられ、舞い上がって


それを満たすだけの中学受験に


すり替えたの!?


まさか、


K君の心の叫びを、利用して???



「・・ちょっと待って。」


「最初に公立中学には行きたくないから、私立を受けさせてって、K君は頼んできたんだよね?」


「そのK君の気持ちは、汲まないの???」



ストレートに切り込んだ。


本当はもっと言いたかったけど  。




メル友ママはのらりくらり。


『だってぇ⤴︎ Kも話し合ってる時に「公立中では内申点が良くないと今は受けたい高校を受験できないらしい。自分は先生の受けが多分良くないから、内申点でその時受けたい高校を受けられない事になったら絶対に嫌だ。私立に行けなくて、そうなったらママはどうやって責任取ってくれるの?」って言われたしぃ⤴︎。』


『それに、本人も一番行きたいのは難関中学みたいだから。受けさせてあげるわよ。◯中は。』


・・・。支離滅裂。


確かに、K君は負けず嫌いだから


狙えるところにいるなら、狙いたいという

欲は出たかも。


いや、その負けず嫌い

自尊心のマスターベーションの道具に


利用したんだな。


最初の「願い」は違ったはずなのに。

K君の願いはそんな事じゃないのに。


メル友ママは、


元々、自分に都合よく

話をそらしていく人でした。


いつも、人が喋り切るまで待てず、言葉を被せて、話を持っていく「話泥棒」をする人でした。


公立中学へ行きたくない理由も、

親に打ち明けられず、言葉にできない中で



この理由だったら

ママは唯一、許してくれそうだ、と


会話の流れの中でK君は直感し


流され、

揚げ足を取られ、

利用されながらも


願いを叶えて貰えるように


一生懸命、話したんだろうな。




聞いていて、


どんどん、切なくなりました。





私の今の役割って、何なんだろう。


そう考えました。


わざわざ繋がってくる時は

私に求めている役割があるはず


私のイメージへ繋がってくる訳だから。


自慢話でも、多少のマウントも

何故か受け流して聴いてくれるから?


いや、それだけじゃないだろうな。


私は必要な事は言い放ってきても

切れてくれなかったんだから



無意識でもそれが必要と決めて?

繋がってきたなら


正直に、


感じたように


私らしくいさせて貰うわ、と


腹を括った。



「あのさ、最初の公立中に行きたくない、っていう声を無視するのは、おかしくない???」


正直に。


ストレートに。


「きいてあげなよ」と。


「きっと、何か理由があって苦しいはずだよ。」


「言えない理由はわからないけど想像してみたら?予測でもいい。」と。




K君の力なら、受かる私学はあるのだろうし、


まだ、願書も間に合う。


何とか他の私学中にも興味を持てないかな?と


好みそうな情報で心をくすぐってみたり・・・


プライドをくすぐってみたり・・・


万が一、落ちた時に、他の私学中に行けるように、


できる限り、脱線してゆく話を戻し、整理し、



伝えてみたけど


どうしても


伝わっている感じは持てませんでした。




3時間近く話していて


最後に、


いつものように

私を「貶す」発言をした彼女に


慣れたことだったはずなのに・・


この日は、


何か違っていて





私の心に『修了!』って


サインが降りてきた。





K君は、取り敢えず受験はできるとなってから


びっくりするぐらい必死に勉強漬けで

ひたすら、ずーーーっと勉強していると


言っていた。


その姿を聞いた時、

切なかったけど



そっか。

決めたらやれる、

頼しいな。

もう、理解がなく、

味方にならない親でも、


傷や歪んだ心もたくさん

抱えただろうけど、


これから出会う社会で

少しずつ癒してもらう方法もあるね


K君なら、そうやって越えていけるのかも


そう感じたのも


修了、ってサインが降りた理由かも


その声に素直になろう


そう思った。





でも、その前に。


メル友ママへ


ジャブだ。



『ねぇ、学校の先生や、塾の先生、臨床心理士の先生まで、そろって皆んなが「K君は頑固なところがありますよ。」って、ママさんに伝えてくるんでしょう?』


『なんでだと思う?』


『でも、家ではそうでもないんだよね?

その理由・・・わかる???』


と、意図して言い放った。


これぐらいはいい・・・と、


意地悪な方法を、自分に許す。


10年、誠意を持って付き合ったよ。


『メル友ママとパパが、K君よりもっと、ずっと頑固だからだよ。絶対に譲らないから。それを悟って諦めてるんだよ。』


少しは、刺され


そう思いながら放った。


棘のように


時々痛んで


思い出す


仕掛けになれ、と。






メル友ママは、一瞬


ポカーンとして


急に「きゃははは!!!!」と


高笑いをした。


「うん。そうかもね!」と


普通を装って誤魔化していたけど


その笑いに、焦りをみた。




ほんの少し、今までの


彼女からのマウントや貶しの 溜飲を下げ、




心の中で


さようなら、と思った。




私は遠くから


K君の希望が叶う事を祈るよ。


そう思って


「じゃ、頑張って。またね。」


電話を切った。


「また」は、ないけれど。


その日から、一度も


話していない。


3年が経った。



やっと終われたのかも。


やっと終わった。



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近所のママ友に

K君のその後の様子を聞いた。



受験には残念ながら失敗して


6年生の3学期は丸っと不登校。

卒業式も出れなかったらしい。


結局、本当に難関1校だけしか

受験させなくて


中学は公立へ行く事になったのだとか。


「そんな状態で中学行けてるの!?」と聞いたら


「一応行ってるみたいよ。」と。



どれだけ悲しかったかな。


不登校から中学に通いだす日、

どれだけ勇気を出しただろう。



でも、


頑張っているのも、

何かが変わったのも


伝わってきた気がした。


もしかしたら


目標への向かい方を、掴んだのかも。


自信になったのかも。


親を諦めて

目標へ気持ちが切り替わったのかも。


孤高でも、


耐えられる何かに変わったのなら

受験も無駄じゃなかったよね。



K君は負けず嫌いだったから。


きっとそれを、

使いこなすだろう。


潰れないでいてK君


そう今も祈っている。




ピュアな力持ちで優しい


男の子でした。



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【後書きに続きます】