境界から見る景色

はじめましての気持ち

御供え




父が旅立ってから


姉は何度か実家に泊まっている。


お盆の間は5連泊・・・



ここにきて、急に。


意図があるのでしょう。



その間、


父の祭壇に一度も


御供えはなかったそうです。



治療であえて脱水にされた


父の渇きと飢えは


壮絶で


バケツ一杯の水が飲みたい


いつもいつも


お茶が飲みたい


お水が飲みたいと


おにぎりが食べたいと


味噌汁が飲みたいと言ってた・・・



でも、叶わなかった。




今ならやっとあげられる。


飲んでねと言える。


私や母はそう思って供えてきたけれど・・・




姉は、何一つ なかったそうです。


仏花すら。




それどころか


直近の泊まりは


父の祭壇がある部屋にも入らず


挨拶すらしないで帰って行ったそう。




既に、自分達の罪から逃避しかけていた母でも


姉の行動には違和感を持ったようでした。



まだ、まともな観察力が母にはあるんだな。



姉は、猫撫で声で甘ったる〜い喋り方をする女性で



良い人のふり、よい娘を 演じる事には長けています。


葬儀場でも、その能力を

遺憾無く発揮していましたが


事の全てを悟ってしまった私には


吐き気と鳥肌を抑えるのに必死な姿でした




私は その裏の顔を


幼少期から ずっとみてきましたが


それが近年、血族の法則の


歳を重ねるほど崩壊してゆくという

法則に、


もれなく乗っていて



良い人の振りも


粗が目立って 雑になり・・・



本音が皮一枚下で蠢いているのに


わざと透けさせて見せておきながら


みない振りしなさいよ!と、


恫喝まがいの上から目線で


何故そこから言葉を


発せられる立場にあると勘違いできるのか??


心から、謎でした。





父母は、近年の姉の本性は


知らないのではなく


共犯でした。


見ないフリをしていただけ。




だから姉は


好き勝手助長して許されると勘違いし・・



けれどここにきて


それに、同調できなくなった母は


それでも人のせいで


「なんで、あぁなちゃったのかしら。きっと姉の旦那のせいね。」と。



いやいや、


あなたと姉は一蓮托生の企てで


父を、どうふみにじったのだったっけ?


同類だし


同罪だし


業を手渡し育てたのは


あなた達、父母が大元ですよ?




そう思うから、飲み込まず




軽くジャブで


「あの性格は元々だし

あなた達が育てた娘ですよ」とサラッと


言っておく。



動揺して言葉を飲み込み黙る母。


それぐらいは受け止めなさいよ


その想いも、恥なんだよ。狡さなんだよ。






ただ、私も


耐えすぎた事は


彼らを助長していたね。



でもね


卵が先か鶏が先かと同じで




私は 彼らに自尊心が育まれなかった。


自分の力で身につけるまで


上手く守る事ができなかった。


今、知った景色からは


自身を責める気持ちは1ミリもない。


運命だったんだ、としか思わない。




今、離れる事を選べるのも


全てが満ちて 今がその時、という


運命なのだと 思うだけで。





姉が、今、何を想うのかは


本当はわからない



自分の罪を振り返れない間は


父の祭壇へは向き合えないだろう。


居心地悪くて無意識に逃げたくなるはず。




ただ ただ


父は もうここにはいない、


その事だけが救いで、



お得意の良い娘の振り、演技すら


出来ないのでは。




答え合わせのようでした。




なのに、



一瞬、


姉を不憫に想う自分を


見つけてしまうのでした。



本当に馬鹿・・・


駄目だめ、


もう疎遠になると決めた人


あれこれ考えるのも


同情も やめよう。


流されない、と決意し直しました。




「情けは 人の為ならず」


まさに、その通り。もう、繰り返さない。




それに、もしかしたら


姉の行動は


ただ 人非人なだけで


今は、情けをかける時でも、ないのかも。


真相はわからないのだから。



私が負う責ではないのだから


不動明王さまに託して


断ち切ろう。


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母は 姉と一緒に過ごすと


恥知らずに、少し戻っている。



それも、想定内。



姉には意図があるし


母は逃避癖があって利用し易いから。



彼らの業は 


彼らのもので


どうなろうと、構わないけれど



でも、私は


今は、それを放置はしないのです。



逃げたなと思えば


姉の行いをもう一度話して


思い出させ


暗に、母の行いを思い出させる。




母は、姉の批判はできるけど


今は自分自身の批判はできないから


狡いよね




恥には触れれど、中途半端で


本気で直視はできていなくて


他者に直接、触れられたら、


逆ギレして逃避する、そんなレベル。


それでも


もう一度、その恥に


姉を通して意図的に触れさせる。




微かに恥を感じた母へは


多少の同情はある。


それは 母が感じた分だけの、情。




今は少しだけ、


残った作業で顔を合わせる間に


嘘っぽくならない


程々の距離で


お互いが同じ空間に居られるように




茶番に付き合わされる事なく


魂が穢される事なく


居られるように




図っているのです。





私から離れてから


逃げたければ 逃げて


己でそれを全て背負って


逝くのはいいのです。





それも運命で


魂は終わらないのだろうから


その続きがあるのでしょう。




何を選ぶかは


母が選ぶ事で、自由だから。




もう私は巻き込まれない


彼らの嘘は背負わないと


はっきり線引きをしているのです




恥じる行為を


都合の良い記憶に塗り替えて


なかった事にしたり


有耶無耶にするのは




彼ら夫婦の十八番でした。



しっかり、姉が、引き継ぎました。




私は、その閉じた世界で


踏み躙られた役割から


抜けるのです